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MFERとは

心電図、脳波、血圧波形などの医用波形データ(以下 医用波形という)は、生理検査、カルテなどの臨床現場で広く利用されています。それら医用波形は調査、研究、教育など様々な目的で使用されています。これら医用波形は、目的により様々な形態で使用され、また、種々の医用波形を組み合わせて使用されています。たとえば、最も臨床で利用されている医用波形である、心電図は、患者の安静時、たとえば10秒間の心臓の状態を把握するため、安静時12誘導心電図として記録し、専門医が判読し、治療に役立てています。その結果は、たとえば患者の手術の是非について判断するような場合もあります。しかし、時には10秒の検査では不十分で、数分間 連続で記録し不整脈や短期間ではあるが心臓の状態を把握したり、さらに、ホルター心電図のように24時間以上測定することでより長期間心臓の状態を確認する検査もあります。それ以外にも、心臓に運動や薬物の負荷をかけて検査する負荷心電図もあります。また、12誘導心電図では把握できない場合には、体表面に多くの電極を付けて測定する体表面心電図マッピング、あるいは心臓の活動を3次元的に把握するためのベクトル心電図、心臓そのものの内部から測定するHIS束心電図や心内心電図、より心臓に近い位置で測定する食道内心電図、ICUや手術室で連続してかつリアルタイムで心臓の活動をモニタすることも行われています。また血圧波形や呼吸波形、脳波など測定、モニタ時ににも心電図は使用されています。このように心電図は、多様な目的、形態、条件で利用されていて、そのうえ、心電図波形処理、表示、記録も目的によっていろいろな利用が行われています。このように医用波形の標準規格に求められるのは、単に一つの医用波形を一つの形態で扱う規格では不十分で、MFERはこのような様々な要件に対応できるように開発されたものです。

(1). 単純で実装が容易
本規約はよけいな贅肉をとり単純化することで、波形に特化した規格化を行いました。たとえば、標準12誘導心電図ではサンプリング条件は波形データの配列単純に記述することで、波形の同期性や誘導合成などが容易になり、正確に記述することができます
(2). 標準化の機能分担
本規約は医用波形に特化していて、医用波形以外の情報は極力HL7、DICOM、IEEE1073といった、それぞれの得意とする標準で記述することを推奨しています。つまり患者情報、検査情報などの医用波形以外の情報は原則として本規約で記述せず、それを得意とする上位のプロトコルで記述するほうがより有効です。またメッセージ交換やデータベース管理では、医療分野の標準のみならず、コンピュータテクノロジなどを利用するほうが、実装が容易で広く活用できます。
さらに医学的な医用波形の利用に際しては、それぞれ専門分野の専門家が開発することで、より臨床目的にあった医用波形の記述ができます。つまり心電図は循環器専門家、脳波は脳神経専門家という具合に各分野の専門家に委ねながら、本規約化が行われています
(3). 波形データの供給側と利用側の分離
本規約は、医用波形の提供側は、その医用波形をできるだけ正確に説明することに努めることにします。利用側は仕様の全てを実装する責務はなく利用側の目的により必要な情報のみ正確に解釈利用すれば十分です。もし波形提供側からの情報のうちで、利用の際必要でなければその情報は無視するかエラーとして処理を中断するかは、システムの設計上の問題です。しかし、医用波形に関する情報は本規約で記述されているので、その提供された医用波形の利用には問題ないでしょう
(4). 対人インターフェースの整備
医用波形情報を利用する場合、利用目的や患者個人の差異などに関する多様性を十分記述できなければならなりません。すまり、本規約は定型的にコード化された記述だけでなく、対人へのメッセージも併用することにより利用側への重要な情報伝達を行う仕組みを持っています。
本規約を実装する際には、次の基本方針に沿って利用して欲しい
本規約がそれぞれのシステムの特長を阻害しないようにしてください。標準化することで技術の発展を妨げることがあってはなりません
本規約は過去の医用波形データベースを容易に変換でき、さらに現時点で医用波形を記述でき、将来新たに現れるかも知れない医用波形情報も十分記述できるような規約である欲しいと考えています。特に、他の規格で記述された波形と相互に容易に変換することで、他の規約と協調して利用できることが重要でしょう